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研究活動

2019.05.28

NOMの会

【第4回】抗体ってなに?そしてその抗体を用いた水生生物の識別

「抗体」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ウイルスなどの病原体が原因で起こる風邪やインフルエンザなどの病気が治る時、抗体が体内で作られ、病原体の攻撃から体を守っているのです。また毒蛇にかまれた時、抗血清のおかげで一命をとりとめたというニュースを聞くことがありますが、この時にもこの抗血清に含まれる抗体が毒素の作用を抑制しているのです。
逆に、抗体によって、病気が引き起こされる場合があります。花粉症、アトピー性皮膚炎、スズメバチに刺された時などに起こるアレルギー反応では、この抗体が悪い働きをし、ショックで死に至ることさえあります。このように、抗体というタンパク質は私たちの体の中に存在し、様々な作用をしているのです。
この抗体の最大の特徴は「高い特異性」をもって病原体や毒素などに結合することにあります。少し説明しますと、インフルエンザの予防接種の際に体内に作られる抗体は、インフルエンザウイルスのみに結合し、このウイルスがヒトの肺の細胞などに侵入するのを妨害します。しかし、麻疹ウイルスや他の様々なウイルスには結合しません。ある種のウイルスのみに結合するこの性質を「特異性が高い」といいます。この高い特異性を利用して、病原体ではなく、似てはいるが異なる生物を識別して検出することに応用ができます。
今回は、身近な抗体の基礎について説明した上で、識別困難な水生生物の識別に有効な抗体の例を紹介したいと思います。

廣石 伸互【福井県立大学 名誉教授、琵琶湖博物館 特別研究員】
主な研究テーマ
有害プランクトンなどの生理・生態および識別法の研究
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