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微細藻類とは

微細藻類は「食物連鎖の出発点である生産者」として
地球の環境を形作っています。

Supporting the earth

地球を支える微細藻類

地球を支える微細藻類

 藻類とは、「酸素発生型の光合成を行う生物のうち、主に地上に生育するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたもの」と定義されます。このうち、ワカメ、コンブ、モズクなど肉眼で見ることのできる藻類を「大型藻類」、肉眼では識別困難なサイズの藻類を「微細藻類」と呼びます。微細藻類は、1個体が数μm~数100 μm(1 mmの1,000分の1~10分の1)という非常に小さな生物です。
 「植物プランクトン」という呼び方のほうが馴染み深いかもしれませんが、微細藻類の中には「浮遊している(プランクトニック)」ものだけでなく、海底の岩や陸上のコンクリート壁などに付着して生きているものもいます。
 微細藻類は、「食物連鎖の出発点である生産者」として、また「二酸化炭素を酸素に変換する光合成生物」として、地球の環境を形作っています。

 地球の表面積の7割を占める海洋では、微細藻類は主たる生産者です。
 オキアミからクジラまで大小にわたる海洋生物と、それを食料とする鳥や哺乳類(もちろん私たち人間も)は全て、微細藻類を出発点とする食物連鎖の中で生きています。

地球を支える微細藻類

 現在の地球の大気の約20 %を占める酸素は、地球上のほとんどの生物にとって生存に不可欠なものです。地球が誕生した46億年前、大気中に酸素は存在しませんでした。およそ30億年前に、初めて光合成によって酸素を排出する生物である藍藻が現れ、その後何億年もの時間をかけて、現在の地球環境が創られました。
 
微細藻類が光合成により排出する酸素の量は、陸上植物による酸素生産量とほぼ同量です。つまり、私たちが呼吸で取り込んでいる酸素の半分は、微細藻類が作り出したものなのです。
 
 このように地球環境は、目に見えないほど小さく膨大な数の微細藻類に支えられているのです。

研究対象としてのおもしろさ

 微細藻類は、形態や細胞内の光合成色素によって分類され、珪藻や渦鞭毛藻、藍藻、緑藻、紅藻など多様なグループがあります。
 微細藻類は、陸上から湖沼や河川などの淡水環境、海洋にまで広く生息します。陸上では土壌や木、石、コンクリート壁等の表面で微細藻類を見つけることができます。水中には水面近くを漂う浮遊性の微細藻類や海底・湖底に貼りついて生育する付着性の微細藻類がいます。さらに、氷点下の氷原や70℃近い水温の温泉、強酸性や強アルカリ性の温泉など、「極限環境」と言われる特殊な環境からも微細藻類を分離することができます。
 
 肉眼では観察できない微細藻類は、17世紀に顕微鏡ができて初めて「発見」されました。そして、20世紀後半以降に電子顕微鏡やDNA解析手法が発明され、細部の微細構造や形態のみからはわからない遺伝的な多様性が明らかになってきました。そういった意味で、微細藻類学は「新しい学問」といえるでしょう。現在でも未解明の点は多く、微細藻類学は今後も大いに発展が期待されます。

研究対象としてのおもしろさ

Global environment

地球環境を創った微細藻類

石油ができる過程.png

 微細藻類が現在の地球にもたらしたものは酸素だけではありません。
 20世紀は「石油の世紀」といわれ、現代の人間社会も石油なくしては成り立ちません。実はこの石油は、海底に堆積した微細藻類の遺骸が、1億~数億年もの時間をかけて地下での熱変性を受け、それが集積したものであると考えられています。

Sustainable future society

持続可能な未来社会のカギとなる微細藻類

持続可能な未来社会のカギとなる微細藻類

 微細藻類は、多岐にわたる分野で活用が期待され、多くの企業や大学で研究が進められています。

▶    バイオ燃料
 微細藻類は特定の環境下で細胞内に油脂を蓄積します。
 これは、石油代替燃料として活用が期待されます。
▶   水産餌料
 魚介類は、自然界においては微細藻類を直接または間接的に餌としています。
 現在主流の魚粉の代替水産養殖餌料として、微細藻類の活用が想定されます。
▶    食糧
 タンパク質の他に多様なビタミン・ミネラルを含む微細藻類は、代替タンパク質
 としての利用が注目されています。魚由来の健康成分として注目されるDHA、
 EPAも元々は微細藻類により生産されたものです。
▶    環境浄化
 ある種の微細藻類が金やパラジウムを吸着することが報告されており、
 環境浄化に利用できるのではないかと言われています。
▶    色素
 微細藻類は多様な色素を蓄積することから、生物由来の安全な着色剤として
 活躍が期待できます。食用色素や化粧品への応用実績があります。

 微細藻類の生産する物質の中には、他にも未知のものや未利用のものが多く存在し、新規の医薬品等の原材料として活用が期待されます。

 多様な用途が考えられる微細藻類ですが、高密度でかつ安定的に増殖させることにより産業利用性が更に高まります。
 微細藻類は、太陽光と水、二酸化炭素、栄養塩さえあれば、無限に増殖することができます。
 さらに、その増殖速度も陸上植物を圧倒します。例えば、植物由来オイルの原料となるトウモロコシやヒマワリは、種を蒔いてから花が咲き、新しい種を得るという一世代のサイクルに数カ月を要します。これに対して微細藻類は数時間~数日に一度のペースで分裂し、増殖することから、短時間で倍のバイオマスを得ることができます。

 私たちは、微細藻類こそが持続可能な社会の実現に不可欠なバイオリソースと確信しています。

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